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日本教育再生機構が主催する「教育再生民間タウンミーティングin群馬」が平成19年2月4日、群馬音楽センター(高崎市)で開かれ、教員や保護者ら約800人が集まりました。昨年10月東京会場での開催以来、7回の開催のなかでは最も参加者の多い「民間タウンミーティング」となりました。
(協賛 高崎市、高崎市教育委員会、高崎商工会議所、群馬県モラロジー協議会、TOSS群馬、(社)高崎青年会議所、高崎市倫理法人会、男女共同参画を考える群馬県民の会、道徳教育改革集団、日本会議群馬、(社)富岡青年会議所。後援 産経新聞社前橋支局、読売新聞東京本社前橋支局、群馬テレビ、群馬よみうり新聞社など)。
第一部では、ギタリストのアントニオ・古賀氏による音楽講演が行われました。美しいギターの楽曲を差し挟みながら自身の体験談や師匠・古賀政男との出会いなどをユーモアを交えて語り、ときに懐かしの古賀メロディーを会場と一緒になって歌い上げ、またじっさいのギター生演奏に基づく教育論議が続くなど、アントニオ・古賀氏の華麗な音楽とトークに聴衆は魅了されました。
続いての古賀氏と八木秀次理事長との座談会でも、「家庭を大切にすることが教育の要」、「音楽のハーモニーと同じで、父親や母親、地域や社会がそれぞれの役割をはたさなければ全体のハーモニーは生まれない」ことなどを、両氏は分かりやすい言葉で聴衆に語りかけました。
第二部のタウンミーティングの登壇者には、山崎学氏(高崎市教育委員会委員長)、櫻井丈二氏(東京農大二高父母の会会長)、深澤久氏(教員グループ「道徳改革者集団」代表・現職教師)、北村久榮氏(こだま幼稚園理事長)、三村幸己氏((社)高崎青年会議所2007年理事長)、コーディネーターは八木秀次理事長がつとめ、学力低下や道徳規範の低下にどう対処すべきか、国語教育や地域教育の重要性など、幅広いテーマにわたって議論が展開されました。
会場の一般参加者からは、発言希望者5名が抽選で選ばれ(うち3名は現職教員)、それぞれ危機的な教育の現状について提言を行うなど、一般参加者を交えたかたちでの活発な議論が行われました。 |
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| 「教育再生
民間タウンミーティングin群馬」の内容紹介(その1) |
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| 【開会の挨拶】 |
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横田英一氏(高崎商工会議所会長) |
| いじめや学力低下など複雑で、難しい課題を解決するには、学校・家庭・地域の三者が手を携えることが重要です。その意味で、「教育再生民間タウンミーティング」の企画は誠に時宜を得たものと考えます。この群馬県でこうした意義深い会合が行われることに対して、各方面のご尽力には協賛団体を代表して心より感謝の言葉を申し上げます。 |
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| 【主催者代表挨拶】 |
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八木秀次氏(高崎経済大学教授・日本教育再生機構理事長) |
| 政府の「やらせ」企画とわれわれの民間タウンミーティングは全く趣旨が異なります。われわれの民間タウンミーティングは政府の政策を民間でリードしようとするもので、元はイギリスで1969年から10年間、地元の教師や保護者、政治家、宗教者が集まった会合が民間で開催されたことに倣ったものです。これがサッチャー政権の誕生につながり、教育を大胆に変革して英国は生まれ変わりました。当機構は「民間タウンミーティング」を通して国民の意見を集約して政府に具体的な提言を提出しております。今般、発表された政府の教育再生会議の第一次報告においても、当機構の提言とその内容の多くが一致しています。教育再生会議の報告は高く評価できますが、今後とも、民間タウンミーティングで出された意見をさらにまとめて提出し、政策に反映させていきたいと考えます。 |
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| 第1部 音楽講演と座談会 |
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| 「人生はハーモニー 今こそ見直そう家族の絆」 |
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| アントニオ・古賀氏 |
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| (概況) |
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冒頭、日本の古謡で筝曲でもある“桜”をギターで演奏することからアントニオ・古賀氏の講演は始まり、繊細で情熱的なギターの音色が会場全体に響きわたりました。
古賀氏はまず、自分がなぜギターが好きになったのか、から語りました。
「私は昭和16年2月生まれで2歳のとき父親がビルマで戦死。父親のことは写真でしか知らない。母親は戦後たいへんな苦労をしながら女手一つで私を育ててくれました。私は働き者の母のうしろ姿を見て育った。そんな母にも息抜きや楽しみがあり、私は歌舞伎座の前の家で産まれたが、小さなときから歌舞伎や見世物小屋によく連れて行ってもらい、それで芸事が好きになった。7歳のときに『古賀政男ショー』を見に行き、日比谷公会堂で初めて古賀先生の現役当時の歌を聴いた。“母さん、ギターは本当に素晴らしいなあ”とそのとき思った。8歳からギターを習い、ギターの先生にも本当の父親のように可愛がってもらった。私は母親と師匠の愛情によってギターを弾くようになった。母と先生の素晴らしい教え方、教育のおかげで今の私があるのです。」
続いて、師匠・古賀政男氏との出会いについて、
「母は店をたたんで私を古賀先生に弟子入りさせてくれた。初対面の古賀先生は、幼い私に弟子入りを思いとどまらせようとしたが、私が『根性だけはあります』と言ったら、『では根性を磨いてみるか』と答えてくれました。『何ができる?』というので古賀メロディを私なりにアレンジして歌ったら、先生の顔色がさっと変わった。作者の目の前で曲をぶっ壊してみせたのだからそれも当然ですが、古賀先生は『面白い』といってくれた。」などといった貴重なエピソードが披露されました。
そして古賀メロディーの名曲、“酒は泪か溜息か”“影を慕いて”を客席と一緒になって古賀氏はしっとりと叙情的に歌い、と思うと一転、“丘を越えて”“東京ラプソディ”などをテンポよく朗らかに歌い上げる場面も作られるなど、客席からは、歌声、歓声ばかりか手拍子、口笛も飛び出し、会場は大いに盛り上がり一体感に包まれました。
「古賀先生は色紙にサインを求められると『音楽は和』と横にお書きになった。ギターを弾くには指のポジションが決まっており、指の動きが全体で調和していなければハーモニーにはならない。調子が外れてたのでは不幸和音になる。ギターには守らなければならないルールやポジションがある。人間社会にもそれがいま必要なのではないでしょうか。」
また、古賀氏は“桜”の曲をはじめ、ギターの弾き方を変えたり、音程を変えたり、メロディーの変調などから、美しい楽曲となるためにはいかにハーモニーが大切かをじっさいの音程や音声から説明しました。
「ギターを弾くのにルールがあるように、人間には守らなければならないルールがある。親子のルールがあり、もっと前の先祖から伝えられたルールがきちんと守られていなければならない。あいさつや礼儀や躾、これを教えられて育てられた子供は大丈夫で幸せだが、今は簡単な基本から壊れつつある。これを直さなければならない。しかも危機感を持って直さなければならない。家庭で、社会で、きれいなハーモニーが作られるよう、一人一人がポジションを守り、人への思いやりをもち、私たちはみな生かされており、“ありがとう”の感謝の明るい心を子供たちに伝えていくこと、美しいハーモニーをこの日本で、みんなで作り上げること、これを心がけることがいま大切なことではないでしょうか。」
最後に“月の砂漠”が演奏されるまで、聴衆は古賀氏の音楽とトークを存分に堪能しました。会場アンケートでも「古賀さんの音楽と話が良かった」、「じつに説得力があった」などの意見が多数見られました。
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| 座談会(概要) |
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八木氏:素晴らしい古賀メロディーなどをお聴きして、たいへんに懐かしい想いがしました。今、教育環境が悪化していますが、古賀さんはどのようにお考えでしょうか。
古賀氏:私には2歳半の子供がいます。63歳で(笑)、家内が産んでくれたのですが…(笑)。それが私の張り合いであり、生きがいです。子供は母親のお腹のなかに宿っているころから私のギターを聴いているので、ギターを聴くととても静かになる。胎教のうちから良いことを教えれば素直に育つようです。2歳で“ベサメ・ムーチョ”を歌いますよ、何も教えてもないのに(笑)。生まれてきた子供が、最初から人殺しをするとか、自殺するとか、そんなおかしな気持ちで生まれてきた子は誰もいない。それだけに、育てた親や周りの責任は大きいと思います。
八木氏:親が親になりえていないという問題もありますね。他にもマスメディアの責任も大きいでしょうね。
古賀氏:テレビや新聞は人の不幸な話や悪いことばかり追いかけているが、本当は真面目にきちっと教育して、子供を一生懸命育てて頑張っている人がたくさんいますよ。そういう人たちのことをちゃんと伝えないで、変な事件ばっかり追っかけて流している。
八木氏:名もない人たちが社会をかげで支えているのですね。では、具体的にはどのようなことが必要でしょうか。
古賀氏:良いことは進んで子供の前で見せて、じっさいに行うことが大事です。教育委員会の人にお話したことは、小学校の低学年では年配の方が教えたほうが、素直に聞いてくれる。中学校ぐらいなったら若い先生が教えるというような、基本的なことですが教えることの工夫が大切でしょう。
八木氏:低学年は若い先生が教えるというのが現状ですから、改めるべきですね。また、古賀さんの素晴らしいギターの演奏には、簡単に弾いているように見えても、じつは大変なご苦労や隠れた努力がおありだと拝察しますが、しかし今の教育では、子供に対して訓練とか鍛錬、鍛えるということが欠けていると思うのですが…。
古賀氏:一生懸命やっていれば何かしてくれる、がんばっていれば何か良いことがある、やったらやっただけの反応があるということが、とっても大事ではないでしょうか。
八木氏:親からの評価が大切なのですね。
古賀氏:そうです。子供が何をやっているか、私の場合、母がつねに見ていてくれた。ギターの先生とも知らないところで話をしてくれていた。人間には、どこかで、誰かが見ていてくれている、気にしてくれているという感じがなければいけません。
八木氏:自分はひとりじゃない、自分のことを大切だと思ってくれる人がいるという安心感が子供を支えてくれるのですね。しかし、現代は偏った個人主義が広がっており、周囲との調和が欠けているように思いますが…。
古賀氏:同じことを言っても違う人が言ったのでは人によって反応が違うように、相手の状況や心を感じて、よく反応をみること、それでコミュニケーションや人間関係をつくっていける。音楽の場合でも、相手の存在を認めて、相手をよく感じることで全体の優れたハーモニーは生まれるのです。
八木氏:先のお話にもありましたが、日本全体でハーモニー、「美しい」音色を奏でられるようにしたいと私も思います。本日はありがとうございました。(拍手) |
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その2 |
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第二部 タウンミーティング |
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山崎学氏(高崎市教育委員会委員長) |
| なぜ日本の教育は混乱し、学校が崩壊しているのか。例えばドイツと日本は同じ敗戦国でも降伏の条件が全く異なる。ドイツは、降伏条件としてドイツ国軍の存続、他国によるドイツ子弟の教育への不干渉、新憲法起草への不干渉の3条件を連合国側に示し、それを飲ませた。しかし日本はいわゆる無条件降伏であり、憲法の起草や教育制度、軍隊のあり方など、国の基本のあり方がドイツとは全く違っている。ドイツでは憲法を7・8回改正しているが、日本ではやっと本格的な検討が始まったところで、国際的な流れから大きく遅れている。また、教育ではこれだけの金額を使ってどれだけ経済効果があったか、費用対効果の検証も行われていない。テレビゲームを長時間に行うと脳の前頭前野が壊れて感情が抑制できなくなり、子供が「キレる」原因であることは医学的に分かっているのに、ゲーム会社が有力なスポンサーのために大きな報道にならない。規制を考えるべきだが、教育にはこうした根の深い問題がじつに多い。 |
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櫻井丈二氏(東京農業大学第二高等学校・父母の会会長) |
| 企業経営の体験からすると、海外のビジネスは日本とは大きなギャップがある。ビジネスのやり方が厳しいため相当タフでないとやっていけない。学校教育でも、外国の生活習慣や食生活、宗教など学校でもっと教えておくべきだ。中国人にあって今の日本人に欠けているのは這い上がっていこうとする気合や競争心だ。日本人にはチャレンジ精神がなくなっているが、学校教育では競争社会のあり方をしっかり科学して、競争意欲をきちんと教えるべきだ。また、現在の教育は、重度の障害者への対応が遅れているなど、子供各自の能力に対応した多様な施策が欠けているのではないか。 |
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深澤久氏(道徳教育改革集団・現職教師) |
| ここ十数年、教育界は大きく変化した。教師は非常に忙しくなり、子供は確実にわがままになり、ひ弱になり、保護者の質は変化し、教育現場にはトップダウンの施策が増えている。だが、いくら現場が悪い、悪いとマイナスの事例ばかり挙げても現実は何も変わらない。われわれ教師は子供たちをじっさいに育てて変えていかなければならない。(自らの実践例として学校のビデオ映像を流す)
例えば、私は、九九は瞬時に使えるよう暗誦させるため、九九=八一から下に降りていく「下り九九」を短時間で行うようにさせている。また「かさこじぞう」の話を朗読させている。学力低下、引きこもり、いじめ、ニート、未成年の凶悪犯罪増加などの報道により、ともすれば今の子供はひどい、学校教育は何をしているのかという意見もあるだろうが、しかし確かな指導を子供たちに継続していけば、子供たちはあるときは集中し、あるときは全力で、あるときは工夫する、それだけの力を子供たちは持っている。今の子供たちは捨てたものではない。教師は必要なことをきちっと、あきらめずに、子供の可能性を信じて、粘り強く指導していくことが一番大事だと思う。 |
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北村久榮氏(日本漢字教育振興協会理事・こだま幼稚園理事長) |
| 最近、とくに国語力の充実や向上の議論が多くの識者により提示されている。ドイツでは、小学校の最初の3年間は国語と算数が75%を占め、社会や理科は4年生からで、週2時間しかない。世界の科学大国であるドイツは国語と算数をみっちり教育している。日本も戦前は「読み書きそろばん」が寺子屋時代から教育の重点にあった。戦前は小学校教育で終わる人が多かったのに漢字理解や計算力が高かったのは教育の成果だ。しかし戦後の日本の教育では、国語と算数の合計時間数が全体の6割以下、欧米の半分以下しかなく、肝心の基礎学力が身につかないといわれている。諸外国の半分しか国語・算数の教育を行っていないが、漢字仮名混じり文という世界で最も効率の良い表記法のおかげで日本の子供たちの理解力は助けられている。それなのに現在の教科書では「せい長」「こっ折」「心ぱい」などと記しており、学習負担を軽くしたつもりがじつは子供の熟語理解をかえって妨げている。0歳から8歳までの子供はパターン認識力が高いため、3000字から5000字の漢字を暗記できる。また9歳からは論理的な思考力が伸びる時期であり、幼児期に漢字を教えておけば子供は漢字を嫌うことなく本をたくさん読むようになる。成長発達段階に沿った国語教育、とくに幼児期における漢字教育の重要性を教育の中にしっかりと位置づけてほしい。 |
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井上幸己氏((社)高崎青年会議所2007年度理事長) |
| 日本の国民は、かつては高い精神性を持っていたはずだ。「明治の人」という表現は、立派な人、凛とした、礼儀正しい人を意味したが、今の大人はどうなったのか?
その大人たちに育てられた子供たちはどうなるのか? 戦後、敗戦国として押し付けられた倫理道徳観により、われわれの高い精神性は奪われてしまった。また、日本の近現代史についてしっかり学ぶ必要がある。青年会議所では学ぶべきものを学んで倫理道徳を身につけることに努め、一般の方々にも自由に参加してもらって意見交換する場も設けている。今年度高崎では「教育次世代育成支援」という事業に取り組んでいる。遠回りのようでも、われわれ自身が子供たちに何を伝えることができるかを明らかにし、周りの人たちのために支援の輪を広げていきながら、問題意識を共有することや問題をともに解決することを目指している。 |
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八木秀次氏 |
政府の教育再生会議が一次報告を出したが、その冒頭に「ゆとり教育見直し」が入った。これを入れてもらうのに私共も随分苦労したが、当初「ゆとり教育見直し」は報告書から外れそうになり、最終的に入った。また、報告書では授業時間数を10%増やすことになっているが、単に時間数を増やせばよいというわけではない。限られた時間数のなかで優先順位をつける必要がある。だが今の学習指導要領は、あれもこれも盛り込もうとして結果としてスカスカになっている。例えば中学校地理では外国について僅か3カ国しか教えないのが現状だ。子供たちの能力を信じて教えるべきことは教える必要がある。テレビ報道によれば、インドはもはや遅れた国ではなく、先進国になる一歩手前であり、将来の頭脳立国を目指して徹底した国語・算数など基礎的な訓練を施している。
現在の「ゆとり教育」の背景にある教育観も改める必要がある。子供中心主義、すなわち子供たちの個性や自主性を尊重しよう、子供たちの学ぶ意思や意欲にまかせようというのは、一見良さそうに見えるが、じつは教育から強制力を奪おうとすることだ。教えることにはときに強制力も必要なのに、教育から強制力を奪うことで子供たちの能力を開花させない教育に今はなっている。また、勉強とは単に頭を良くするだけのことではない。先の深澤先生の授業実践でも、子供たちはじつに真剣に集中して取り組んでいる。集中力を高めることが道徳力を高めることにもなる。子供たちの発達段階からしても、少なくとも初等教育では無理にでも教え込まなければならないことがある。教えること、伝えることにより子供は日本人になるのであり、また文化的に日本人にする必要がある。だが、今の教育は文化的な意味で日本人になれないような教育を行っている。
日本という国は一人一人の人間の質で、ここまでもってきた国だといえる。教育立国として人間の質を再び上げていくためには、ゆとり教育の見直し、学習指導要領の改訂を注視するとともに、教科書の内容も民間の立場からの見直しが必要だ。「社会総がかり」で日本国民を育てるのにふさわしい教育内容であるかどうかを点検していかなければならない。ゆとり教育の見直しで授業時間数は増えるが、あとは内容をいかに充実させるかがだ。 |
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八木氏 |
では、今日お越しいただいた一般の方から5名の方に、短い時間ですが自由にご提言をいただきたいと思います。
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会場からの提言1 |
| 公教育における秩序の回復を提言したい。経済的に少しでも余裕があれば親は私立に行かせる。保護者は公立学校の教育を信じていない。保護者は公立学校の秩序が崩壊し、もはや学ぶ環境にないことを知っている。公教育には1人あたり80万から90万ほどの公費が投入されているはずだが、それを放棄してでも私立に行かせるのは、公教育に対して保護者が完全に「ノー」と言っているのと同じだ。何としてでも秩序を回復していただきたい。信賞必罰の秩序を公教育に回復しなければ、日本の未来はない。 |
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会場からの提言2 |
| 学校の先生や教育委員会までが、いじめ問題を隠蔽していた、あるいは先生が加担していたという現状は憂慮に堪えない。民間社会ならば懲戒に価する。学校の問題は学校の中で解決しなければ、いじめ問題などは解決しない。法令遵守、信賞必罰、悪いものは悪い、正しいものは正しいと、はっきり言う正義感のある先生がいなければいけない。子供たちに対して、日本の学校の中には正義がある、法律が守られていることをきちんと示していくべきだ。 |
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会場からの提言3 |
| 教育現場がいじめを隠すのは、いじめの申告数が少ない学校が良い学校とされているからだ。申告数ではなく、いじめを解決した数が多い学校が良い学校だと考え方を変えるべきだ。いじめに正面から取り組み、小さないじめも許さない学校、いじめと戦う学校こそが良い学校というようにしたい。いじめは犯罪であり、見て見ぬ振りは許されない。最低限の善悪をきちんと教え込む学校教育であってほしい。 |
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会場からの提言4 |
| 学力低下の責任は学校や子供でなく文科省にある。現場は学習指導要領に非常に拘束されており、89年の改訂は低学年を直撃したといわれている。全国の1000を超える地方自治体の議会で撤回もしくは早期見直しの決議があった。勉強の質や量も低下すると自分自身への自信を失うことになっているのが現状だ。文部省は、出来る、出来ない、分かる、分からないではなく、学ぶ意欲を見なさいという「新しい学力観」を提示して、それが今でも現場に押し付けられている。「では、どこを見たらよいのか」と文部省に聞いたら、「目の色を見なさい」といわれた(笑)。現場の状況をよくふまえたうえで学習指導要領の早期改訂、教育予算の確保が必要だ。OECD加盟国でも日本の教育支出は最低ランクであり、本当にゆとりのある教育機関を作ることが大事だ。 |
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会場からの提言5 |
| 子供が一人で勝手に悪くなることはない。親や学校、社会の姿をじつによく見ている。現在のいじめの論議には乱暴なところがある。いじめはもっと細やかな日々の感情の問題で、いじめている側といじめられている側がいつ逆転するかわからないような状況だ。もっと丁寧に教職員が子供に携わる必要があり、そのためには教育予算の拡大を含めた環境整備をお願いしたい。 |
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全体討論 |
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深澤氏 |
| 学習指導要領の問題、学校秩序やいじめ、学力低下も問題があることは確かだか、不満やマイナスなことを言い募っていても現状は変わらない。子供たちは打てば響く存在であり、それだけのものを持っている。どうすれば子供たちが正しく、逞しく育つか、今必要なのは子供たちに正義感と勇気を持たせることだ。それを口先で言うだけでなく、現職の教師ならば「いつでもクラスに来て見てください」、「何かあれば率直な意見をどうぞ」というくらいの、開かれた環境を学校に作ることが出発点となるのではないか。 |
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八木氏 |
| ともすれば特定の教員組合の存在のために現場の切実な声が世間に届かないことがあるが、今日は非常に率直な意見が出ていると思う。 |
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山崎氏 |
| 私が教育委員になったころは教育委員会は事務局の話を聞いているだけであり、15分で終わっていた。3ヶ月我慢したが、とうとう頭にきてうるさく発言するようになった。今では高崎市の教育委員会は2時間から2時間半の会議となり、一般の傍聴もできるのでどれだけ真剣に議論しているか見ていただきたい。少子高齢化対策として義務教育を高校まで広げようとしている一方で、社会保障費を5年間で1兆2000億円も削減すると発表されている。生活保護費の削減や障害者の自己負担を増やすことでそれに充てるという。しかし、「美しい国」というのは国民にとって優しい国であってほしい。社会保障費を圧縮して、障害者にしわ寄せが行くような政策が国民にとって本当に良いことかどうか、もう一回考え直してほしい。 |
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八木氏 |
教育委員会制度とは英語で「レーマンコントロール」といい、レーマンとは素人、教育関係者以外という意味であり、教員とは異なる、高い立場や広い視野から教育をコントロールするという趣旨だ。ところが教育委員会の多くは、教員出身者ばかりで「レーマンコントロール」が働いていない。教育委員が現場を見ないで、教育関係者だけでことを進めようとするので事務局に仕切られたりする。高崎市の場合は、教育長以外はレーマンだ。また、山崎先生のように「うるさい」教育委員がいないと良い教育にはならない。みなさんで「うるさい」教育委員が出てくるようにしてもらいたい。
今日いただいたご意見はまとめて政府に突きつけて、政策に反映させていくことがこのタウンミーティングの目的です。建設的で有意義なご意見をありがとうございました。(拍手) |
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