[57] 規律と道徳の再生─日本教育を変える/加藤十八(中京大学名誉教授・日本教育再生機構代表委員)


 本年(平成18年)5月に、文科省(国立教育研究センター)は、「生徒指導体制のあり方についての調査研究─規範意識の醸成を目指して」の報告書を発表しました。
 この報告書の内容は、従来の文部省が強く指導してきた間違った指導法とは、対立するコペルニクス的大転回をさせています。すなわち、従来の‘見せかけの指導論’から‘実効的指導論’に変革させています。その内容には、
 「規則に基づいて指導する、ゼロトレランスとプログレッシブディシプリンを導入する、罰則に基づいて懲戒を与え学校秩序を維持する、義務教育における出席停止・高校における懲戒処分の適切な運用を図る、校則の遵守・挨拶・服装・時間の厳守・規律ある集団活動・授業中の私語の禁止、など」が明記されています。
 そして、さらに重要なことは「‘してはならない事はしてはいけない’と、毅然とした粘り強い指導を行う。‘当たり前のことを当たり前に実施’し、指導の‘ぶれ’を生じさせないようにする。」とあります。このことは父母や一般市民にはよく理解でき賛同できる指導法です。これこそがレーマンコントロール(市民管理)による教育委員会の役割で、父母や一般市民の教育要求に応える指導法です。
 このような指導法であれば、わが国の大多数の優秀な教師たちは、水を得た魚のように教育的士気を高め、指導に打ち込むことになります。こうなれば、数年を経ずして、わが国の学校規律は立ち直ることができると思います。
 従前は、「教師が目線を下げて、カウンセリングマインドのもとに受容と共感による、・・・」という、教育学者たちの間違ったフィーリングによる非管理教育的指導論を、文科省が全面的に取り入れ、学校に対して画一的に統制してきたのであります。このことがわが国の学校規律が乱れ、規範意識を育成することに失敗した原因です。いまの日本の学者の言う教育学は、実効的価値はほとんどありません。現場の教師が、父母が、市民が、政治が教育を主導して、変革させていかなければなりません。
 因みに、アメリカでは1990年代に学校規律をほぼ完全に建て直しました。その主な要因は、ゼロトレランス(規則による厳格な指導)とプログレッシブディシプリン(段階的な細かいしつけ指導)方式に因るよるものです。この方式を、G.ブッシュ、クリントン、G.W.ブッシュと、3代の大統領主導によって、学校規律を建て直しました。現在は、キャラクターエデュケーション(人格教育・道徳教育)に力を入れています。
DATE: 2006-09-28