教育再生会議・第3次報告に向けた「教育再生への提言」全文公開!!

 12月18日(火)、日本教育再生機構は、内閣官房教育再生会議に対して3度目の提言申し入れを行いました。
 当機構からは八木秀次理事長が出席、全日本教職員連盟の植田宏和委員長、宮竹弘樹事務局長、神社本庁の担当者が同席して、教育再生会議の山中伸一副室長に対して下記の8項目からなる「教育の再生の提言」を直接に提出し、12月末に予定されている同会議の第3次報告に反映されることを求めました。
 八木理事長は、改正教育基本法の理念が具体化されるためには、
1 「『ゆとり教育』決別」「子ども中心主義からの脱却」「客観的で測定可能な学力を」という明確なメッセージを
2 確信をもって道徳(徳育)の教科化を
3 「全国学力テスト」の情報公開およびフル活用を
4 校長の権限強化、不適格教員を徹底排除し、教員免許更新の講習は教職大学院で行う
5 教員の定数増について
6 教職員の政治活動の完全禁止と教科書法制定を
7 学校選択制および高校の学区制撤廃を推進し、教育界の談合体質の排除を
8 第三者評価機関として「教育検査院」の設置を―会計検査院をモデルに―

の諸点を提言し、それぞれ説明を行いました。
 植田委員長は、上記のなかでも「教員定数増」および「教職員の政治活動の禁止」について山中副室長に要望しました。
 山中副室長からは、「徳育の教科化は第2次報告にも入ったようにさらに実現をめざしていく」、また「教師が『指導』のできる教育となるよう今後見直しが必要」「現代の複雑な時代には『社会総がかり』の教育再生がどうしても必要」「学力・規範意識の回復、徳育(体育)の強化が(第三次報告の)基本となる」「学校選択制には学校の情報公開が必要」などの発言があり、再生会議での議論の内容についても具体的に触れました。
 また山中副室長は、八木理事長の論文「改正教育基本法が店ざらし」(『産経新聞』「正論」欄平成19年12月11日付)と、市村真一氏(京都大学名誉教授・教科書改善の会賛同者)の論文「『徳育不要論』では日本が傾く」(同欄翌12日付)が、教育再生会議の委員全員に配布されたことにも言及しました。
 最後に八木理事長は、「再生会議での議論がきちんと実行されること」を強く要請して申し入れの会談をおえました。
↓ 以下に全文を掲載
平成19年12月18日

教育再生への提言:改正教育基本法の理念の具体化を

日本教育再生機構
 教育再生会議は、文部科学省・中央教育審議会主導のこれまでの「教育改革」ではなく、首相官邸主導による省庁横断的・社会総がかりの「教育再生」を推進する組織として発足した。私ども日本教育再生機構は、貴会議が第三次報告および最終報告を作成するに当たり、貴会議を貫くコンセプトである「全ての子供に高い学力と規範意識を」を実効あらしめ、また、新たに「教育の目標」を設定し、教職員に法令遵守を求めるなどした改正教育基本法の理念が具体化されるよう、以下の8つの提言の実現を要望する。


1 「『ゆとり教育』決別」「子ども中心主義からの脱却」「客観的で測定可能な学力を」という明確なメッセージを

 教育再生会議が今年1月の第一次報告で「ゆとり教育」の見直しを打ち出すとともに、授業時間数の10パーセント増加を提言した。また、それを受けて中教審が30年ぶりに授業時間数を増加させるべく学習指導要領の改訂に着手した。以上のことは高く評価されるべきであるが、「ゆとり教育」の見直しは実際には、単に授業時間数の1割増にとどまり、本当に学力の向上につながるか、疑問である。文部科学省・中央教育審議会が継続を主張している「生きる力」「確かな学力」などは客観的な測定が不可能な「新しい学力観」に基づくものであり、学校教育が低迷しはじめた大きな要因であると考えられる。
 また「生きる力」「ゆとり」を含む「新しい教育観」には、「『指導』から『支援』への転換」という、行き過ぎた「子ども中心主義(児童中心主義)」が理論的な背景にある。この「子ども中心主義」が教育のあらゆる場面で教師から指導力を奪い、結果として学力の低下、規範意識の低下をもたらした現実を直視すべきである。「新しい学力観」に基づく学習指導要領は直ちに停止し、測定可能な知識や技能を中心にして教師が学力向上の指導力を展開できる内容に改編すべきである。また、事実上は教師の主観による成績評価となる「絶対評価」は、親や生徒のみならず教師や学校にも正確な学力を測定することを不可能にしており、早急に見直す必要がある。教育再生会議には授業時間数の増加とともに「ゆとり教育」の背景にある理念の見直しを明確なメッセージをもって提言して頂きたい。

2 確信をもって道徳(徳育)の教科化を

 国民の大多数が求める規範意識の向上に道徳の正式教科化は不可欠であり、貴会議は世論の支持を背景として確信をもってそのことを推進すべきである。また、改正教育基本法は第2条で「教育の目標」を掲げ、「豊かな情操と道徳心を培う」「公共の精神に基づき」「生命を尊び、自然を大切にし」「伝統と文化を尊重し。それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する…態度を養う」ことなどを規定しており、正式教科化は教育基本法の要請と考えるべきである。
 教科化への障害は、数値評価、検定教科書、担任教師の三点が難題とされるが、『心のノート』を作成し配布している文部科学省には道徳教科書の十分な検定能力があり、成績評価も記述式など検討の余地があり、国語と同様、読解力の評価であれば、数値評価さえ可能である。また、「総合的学習の時間」や「選択教科」には教科書もなく、教員に大きな負担増を課してまで実施したのに、教科書が作成可能な道徳に担任教師が当てられないのは矛盾している。学習効果の疑わしい「総合」「選択」の時間は、正式な教科の「道徳」に振り当て、そこで体験学習などを行えばよい。内容については「道徳」「総合」「選択」の時間を統括した東京都品川区の「市民科」などの先例を参考にすべきであろう。
 また、道徳教育の充実がいわれながら社会科の中でしか宗教が取り上げられない状況は問題であり、道徳教科における宗教情操教育の涵養が学習指導要領の中で具体化されることを求めて頂きたい。
 なお、実施に当たっては、何曜日の何時間目には必ず「道徳」の授業を行うとするなど、全国一律のコアタイムを設けることを重ねて提案する。

3 「全国学力テスト」の情報公開およびフル活用を

 78億円もの国費を投入しながら、文部科学省は全国学力テストの結果について都道府県別のデータしか公開していないために、学校や地域の学力は客観的に評価できない状況が続いている。本年度に「ゆとり見直し」の学習指導要領の改訂を行っても、結果の公開なくしては評価や責任を問う意識の構造が教育界に生まれず、成果が期待できない。また、学力テストのデータ処理の請負を落札した民間会社は情報をフルに活用できるのに、国民には知らされず、利用できないのでは、国民の「知る権利」を軽視し、情報公開の原則に背馳している。学力テストおよび情報公開の反対運動を展開する一部の教職員組合や閉鎖的な教育界の勢力に引きずられて国民の権利や子供の学力向上を犠牲にすることは許されず、早急な情報公開とその活用を求めて頂きたい。

4 校長の権限強化、不適格教員を徹底排除し、教員免許更新の講習は教職大学院で行う

 校長の任期を延長し、40代の若年校長を増やすとともに、60歳の定年後にも任用を拡大するなど、校長人事を弾力化すべきである。また、校長の予算・人事面での権限を強化するためには教員への査定の権限を与え、同時に学校経営の責任の明確化を図るべきである。教員給与には職階制を設け、管理職には成果主義を導入し、期末手当で差を設け、不適格な校長および管理職は降格させることで意識改革の徹底をはかるべきである。
 保護者からの批判が多い不適格教員や指導力不足教師に対しては、教育委員会および校長は、免許更新研修を受けさせないことなどによる免許更新停止あるいは分限免職も辞さない強い姿勢を見せることが重要である。また、教員免許更新の講習は、改正教育基本法や改正学校教育法が新たに設定した「教育の目標」を具体的に教示できる機関や教官に行わせるべきであり、これまでの国立大学教育学部を中心として実施されることにでもなれば、苦労して学校現場の現実感覚を身につけた現職教員も、再び問題教師を支援するような一部の左翼的・教職員組合的な空論で混乱し意欲を失ってしまう。そのため新設された教職大学院を中心に講習を行うべきである。さらに文部科学省は教員免許更新講習の内容を教員からの希望を募って行うことを検討しているが、あくまで教育基本法および学校教育法の「教育の目標」が達成されるような教育実践に導くことが免許更新講習の目的であることを忘れてはならず、この点を貴会議として文部科学省にも周知させて頂きたい。

5 教員の定数増について

 少子化時代の教員増加には、教員全体よりも「技術立国・日本」を支える理数系の専門教員を増やすべきで、教員の多忙感の解消には事務職員の増員による教務と事務の分離が有効である。また、予算増額を求めるならば教員増だけでなく、学校経営の強化や子供の奨学金・修学支援の増加の方が世論にも支持されると考えられる。特に学校選択制の推進には、学力テストなど学校の情報公開に伴う予算増加は不可欠であり、また教育委員会改革や校長および管理職の権限強化にも予算が当てられるべきである。

6 教職員の政治活動の完全禁止と教科書法制定を

 国家公務員の政治活動の禁止は法律で罰則が定められているが、地方公務員法には罰則規定がないなど、法律上の不整合があり、これが一部の教職員組合の活動を助長する最大の原因である。地方公務員法の改正を求めるとともに、政治活動禁止については文部科学省や人事院など上級官庁からの「指導」を周知徹底させるべきである。また、教職員団体の適切なあり方について、ガイドラインを示す方向で議論すべきである。さらに、一部地域で見られる一部の教職員組合の推薦がなければ管理職に登用されないなどの教育委員会の不適切な人事政策に関しても改善策を提示して頂きたい。
 一部の教職員組合の政治的宣伝ともなっている教科書問題については、教育基本法の新たな理念に基づく教科書づくりに向けた「教科書法」制定による適正な教科書検定および教科書採択の実現を求めるべきである。

7 学校選択制および高校の学区制撤廃を推進し、教育界の談合体質の排除を

 教育界の横並び体質を改め、優れた学校経営が周囲に広がり、また、子供が行きたい学校、親が行かせたい学校に少しでも通えるようにするために、学校選択制および高等学校の学区制の撤廃は可能な限り推進すべきである。さらに、公私間協議ともいわれる、公立学校と私立の経営者が話し合って次年度の入学者受け入れ人数を決めるのは一種の談合である。学校の教育力向上を阻害する談合体質は厳しく非難し排除すべきである。

8 第三者評価機関として「教育検査院」の設置を―会計検査院をモデルに―

 教育基本法や学校教育法が掲げた新たな「教育の目標」も、学習指導要領段階では骨抜きもしくは形骸化する可能性は大であり、現にその兆候は現れている。その意味で、教育再生会議の終了後のフォローアップ体制づくりが極めて重要であり、過去に官邸に置かれた臨教審や教育改革国民会議の報告同様、文章にした報告書が残され、教育現場は何も変わらないという事態を招きかねない。学校の第三者評価は文部科学省でも試行が始まっているが、教育ギルド社会に支配され批判の対象となっている教育委員会が如何に形式を整えて第三者評価を行っても、それは現状を正当化する結論を導き出すことになるとしか予想されず、文字通りの第三者機関による外部の客観的な学校評価を実施すべきである。
 今後も「教育再生」を文部科学省任せにせず、教育再生会議の提言をフォローアップする組織として首相直属の強力な「教育検査院」(仮称)を設置すべきである。組織構成や法律上の権能としては現在の会計検査院をモデルとすべきであろう。