日本教育再生機構の八木秀次理事長と全日本教職員連盟の三好祐司委員長(当機構代表委員)は、政府の教育再生会議に対して、当機構の「教育再生への提言」、「教育再生民間タウンミーティング報告集」を提出しました。会談は約30分間、教育再生会議の山中伸一副室長と八木・三好両氏との間で行われました。会場にはテレビ・新聞各社が多数集まり、当機構の提言内容や再生会議側の動向に対するマスコミの関心の高さがうかがえました。
 
教育再生会議副室長 山中伸一氏へ「教育再生への提言」を提出する八木秀次理事長
 
  当機構では、政府主催のタウンミーティングが「やらせ問題」等により中止されるなか、全国5箇所で開催した民間版タウンミーティングの中間報告として、多方面から集まった提言や意見を掲載した「報告集」と、それをもとに当機構でまとめた「教育再生への提言」を提出しました。
  「提言」は、(1)ゆとり教育と週5日制の見直し、学習指導要領の早期改訂、教員の多忙感の改善、(2)道徳の教科化と生徒指導への「ゼロトレランス」導入、(3)教員免許更新制に連動した職階制の導入、(4)学校選択制の拡大と高校の学区制撤廃、(5)教育委員会改革と教育の地方分権の見直し、(6)イギリス教育水準局に当たる「教育検査院」設置、(7)家庭教育の充実、「教育環境」の改善、企業の社会的責任についてなど、計7項目に関して求める内容です。
  山中副室長は「再生会議でも、もっと国民の声を聞く必要を感じており参考にしたい。また日本教育再生機構の『提言』は再生会議での議論の内容に重なる」、「1日の授業数を6時間制から7時間に延長するなど学力回復への議論も進んでいる」などと答え、1月中とされる再生会議の中間報告に向けた状況説明などもありました。
  三好委員長は、「かつて『指導』から『支援』へと教育手法における理念の転換があったが、これは根本的に見直すべきだ」、「子供が悪質な情報に簡単に接することのできる状況は教員の想像の域を超えている。これ以上の教育環境の悪化を防ぐ対策が早急に必要」などと提起し、山中副室長も「再生会議で議論を深めたい」などと答えました。
 
 
 
 
 
 
 
◎「政府の教育再生会議に『教育再生への提言』の申し入れを行う」(その2)

教育再生会議に提出した「教育再生への提言」の全文(および補足)を掲載いたします。

 
平成18年12月22日
教育再生への提言
日本教育再生機構


1 国民の確かな学力を保証し、教育格差をなくすとともに、教員の日常的な多忙感を減ずるべく、「ゆとり教育」との決別を宣言して頂きたい。週5日制を改めるとともに、学習指導要領の早期の見直しを提言して頂きたい。学習指導要領の見直しに当たっては基礎・基本と付随的なものを区別し、優先順位を設けるべきである。

2 規範意識を向上させるべく、「道徳」の教科化とともに、生徒指導に「ゼロ・トレランス」を導入して頂きたい。いじめ問題では、いじめた側には出席停止を含む厳しい姿勢で臨んで頂きたい。改正教育基本法の理念に従い、郷土や国を愛する態度を涵養させるべく歴史教育や伝統文化教育を充実させて頂きたい。ジェンダーフリー教育を禁止するとともに、性教育については自己抑制教育を導入して頂きたい。宗教を学校から排除せず、宗教的情操心を涵養すべきである。

3 教員の質を向上させるべく、教員免許更新制を導入するのはもちろんのこと、教員に職階を設けるともに、更新制と連動させるべきである。教員の法令遵守を徹底させ、政治活動を禁止すべきである。教員は労働者ではなく、せめて全体の奉仕者である公務員としての自覚を持つよう研修すべきである。併せて大学の教職課程の内容を点検すべきである。教員を教育専門職とすべく、学識・人格を重視した新たな教員養成のための6年制大学を創設すべきである。

4 学校の教育力を向上させるべく、可能な限り学校選択制を導入すべきである。高校の学区制は撤廃する。学校の情報公開を徹底させ、各教員の指導案も公開する。学力不振校については指導主事を導入するなどしてケアし、全体のレベルアップを図るべきである。教育バウチャー制度の導入は大掛かりであり、学校選択制の導入と奨学金制度の充実で目的が達せられるのでその必要はない。生徒による教員評価は教師の権威を損なう恐れがあるので慎重に対応されたい。

5 教育行政の無責任体制を是正すべく、教育委員会の設置義務を解くとともに、教育長・教育委員をなるべく教員OB以外から選任し、レーマン・コントルールの原点に戻るべきである。教育の地方分権を見直すが、ただちに文部科学省の権限復活とはしない。

6 イギリスの教育水準局に当たる「教育検査院」(仮称)を国の機関として創設し、教育委員会・学校・大学の教員養成課程に対して、学習指導要領その他の法令を遵守しているかの監察を行うべきである。

7 教育再生は教育界だけではできない。家庭・地域の協力はもちろん企業の協力が不可欠である。教育再生を「世直し」と位置付ける必要がある。「早寝・早起き・朝ごはん・挨拶励行」など、家庭に「規範」を取り戻す国民運動を行うとともに、親になるために教育(「親学」)を実施する。「他人の子を叱る」運動など地域が一体となって教育再生に取り組む。高齢者が学校などで積極的に子供と関わる事業を展開する。企業は親の育児時間を確保すべく、「働き方」を検討すべきである。「教育環境」を改善すべく、「企業の社会的責任」として教育再生を位置付けるべきである。とりわけ有害情報や俗悪番組を放置してはならず、業界団体等に協力を要請すべきである。

※ 上記「4」への補足
教育バウチャー制度導入の可否を議論すること自体は重要であり、市場競争原理の導入も必要と考える。しかし、安倍総理が『美しい国へ』で唱えているバウチャー制度は「限定的な」バウチャー制度のことであり、所得の多寡に関わらず私学進学への可能性を開く議論である。だが、現在、教育再生会議の一部の委員が提唱しているのはそれとは異なる「全般的な」バウチャー制度であり、両者は区別して考えなくてはならない。
「全般的な」バウチャー制の導入は大掛かりなものとなり、その弊害も大きい。また、導入している国も少ない。専門家の間では、学校選択制は「事実上のバウチャー制度」とする見方が有力であり、現行の学校選択制を拡大して奨学金制度を充実させれば、バウチャー制度を導入しなくても、目的、すなわち競争原理の導入によって学校の教育力を向上させること及び所得の多寡に関わらず私学進学への可能性を開くこと――は達せられる。それゆえ敢えてバウチャー制度を導入する必要はないと考える。